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コトノハオウコク
こんな世の中に心象スケッチなんというものを、大衆めあてで決して書いている次第でありません。全くさびしくてたまらず、 美しいものがほしくてたまらず、ただ幾人かのかんぜんな同感者から『あれはそうですね』というようなことを、 ぽつんといわれる位がまずのぞみというところです(宮沢賢治) 001:風 駅前のブルースハープ少年にぬるい風吹く 答はきっと 002:指 水底の闇にまぎれて焦げたのは尾鰭の先かそれとも小指 003:手紙 「手紙ってきんちょうするよ」10歳のレターセットを購いて言う 004:キッチン 真夜中のキッチン話しかけるべきひともいなくてラム・チャイを漉す 005:並 共感のレベル未満のコトノハを並べようやく眠れそうです 006:自転車 パンクした自転車を押すあの曲を今あの曲をすぐに聴きたい 007:揺 振り切れぬままだからいい空を見てつま先ついて揺らすブランコ 008:親 親しげにファーストネームちゃん付けで呼ぶ上司には連名チョコを 009:椅子 未読本置き場となった椅子二脚動く気配もないままに春 010:桜 カレンダーの大寒の字の上に貼る桜のシール特に意味なく 011:からっぽ その下を腕いっぱいのからっぽをかかえて歩く空はただ空 012:噛 ひと思いに噛み砕かれて溶けるならいちごみるくも本望だろう 013:クリーム 脳内で生クリームを泡立てる泡立てすぎてツノもたたない 014:刻 青ネギを刻んで散らすイチローになれなくたって君は君だし 015:秘密 ささやかな秘密ならある赤坂と新大阪で ふふふ言えない 016:せせらぎ せせらぎは潮騒になるおしゃべりなきみが無口になる帰り道 017:医 一行ですむ「医療費のお知らせ」の余白にうかぶ愁訴諸々 018:スカート とりどりにおもわせぶりをひるがえすスカート咲いて街は花冷え 019:雨 まだどこにもたどりついてはいないのに立ち止まるたびいつも雨降り 020:信号 ゆっくりと手旗信号振るように言葉をつなぐ モ・ウ・ヤ・メ・ヨ・ウ・ヨ 021:美 ター坊の声にあわせて歌う夜美術館(ミュージアム)では何かが笑う 022:レントゲン 飲みこんだ言葉の澱がレントゲンに写らぬように はい、全部とめて 023:結 にぎりしめこらえるためのものじゃない結んでひらくちいさなこぶし 024:牛乳 ひいやりとぼくのまんなか降りてゆく牛乳 たぶんここまでは白 025:とんぼ ギンヤンマにはできぬこと染まるまで空をなぞって舞うあかとんぼ 026:垂 なんとなくずるい気がした(気のせいさ)三角定規で引く垂線は 027:嘘 はみだした本当のことをくるみこむきれいに嘘のこげめをつけて 028:おたく おたくとかミーハーとかにくくられるマニアの受難もしくは安堵 029:草 ほうせんかカンナサルビア百日草みんななかよく夕焼けちまえ 030:政治 ゲシュタルト崩壊なのか「政治」って文字が無意味な模様にみえる 031:寂 ペディキュアのラメがこぼした寂しさに気づかぬふりの夏のローファー 032:上海 五月闇空を流れる楽聖も微笑みそうな上海ムーン 033:鍵 蓋を開け黒鍵だけをひとしきり叩いて閉じるその蓋の黒 034:シャンプー シャンプーを詰め替えてゆく1,2分 分になおした余生を量る 035:株 ベランダのウスベニアオイ薫りたつ五月雨の宵株分け終えて 036:組 負け組にだけ許されたささやかなしあわせ数え夜は群青 037:花びら 花びらを抱き起こしては捨ててゆく風を見ていた 今日も見ている 038:灯 傷心の首長竜と眠りたい灯台の声とどかぬ海で 039:乙女 熱くあまくやわらかくなる透きとおる 凛々しく焼かれるアルプス乙女 040:道 ヤマボウシネジバナトウバナ咲く道で雨に打たれるポケモンカード 041:こだま こだまではなかったぼくの声だった冥王星にはなんにもなくて 042:豆 チャイニーズスープの底に光る豆 さやはちぎれてくすんだみどり 043:曲線 汗をかくデュラレックスの曲線にそってかなしい記憶を逃がす 044:飛 王様と香辛料と飛行船 モノクロ好きの部屋にある赤 045:コピー 用済みのコピー紙の束両腕に夢の骸は案外重い 046:凍 凍らせた記憶が溶けて流れ出すディスクユニオンの棚から床へ 047:辞書 きまぐれにケータイ辞書の顔文字を選ぶ なにかがさびしく笑う 048:アイドル アイドルは星へ還った 僕たちは乱反射する海へ潜ろう 049:戦争 ゆるゆると最終戦争(アルマゲドン)はしのびこむ例えばジダンとジブリのすきま 050:萌 ハジマリのトキメキだけをコレクション萌えつきるまで埋めつくすまで 051:しずく 卓袱台のしずくのしみを消してゆく昭和81年夏の風 052:舞 囃されてみても舞えないこころだけ風にあずける老かたつむり 053:ブログ 期間限定南国フルーツグラノーラのことなどを書く夏バテブログ 054:虫 音もなくてんとう虫の背は割れてさよならまるい妄想宇宙 055:頬 この夏の浴衣を選ぶ少女らの頬はリュウキン瞳ヒマワリ 056:とおせんぼ 陽焼けした腕いっぽんのとおせんぼ乗るはずだった電車が行った 057:鏡 チャーリーの真似して鏡文字を書く欠けたまんまで満ち足りていたい 058:抵抗 無関心無抵抗かつ無愛想ときどき無邪気カクタスに花 059:くちびる またねってそれだけ言ってくちびるをむすんだとたんあふれだす日々 060:韓 中吊りの韓流スターが今日会った唯一の笑顔そんな日もある 061:注射 注射器の中に波打つ赤い海つなげなくても生きていいかな 062:竹 ジョビジョバアよからぬものを除けるため十字架がわりに握る竹炭 063:オペラ 大輪のオペラピンクの朝顔にたしなめられてもまだ寝つけない 064:百合 空想の矮惑星に咲く百合は夕陽について一家言持つ 065:鳴 身の奥に低く休まず鳴り続くベースのリフは if/もしも/でも 066:ふたり 写メールで夕焼け空を送り合いふたりそれぞれ宵闇を待つ 067:事務 休出の事務所でひとり夏フェスに魂飛ばしFMを聴く 068:報 YouTubeロック教室偏頭痛 '06夏の報告以上 069:カフェ 上段はケイトブッシュと決めていたペンギンカフェはベッドの下へ 070:章 見慣れない校舎制服髪化粧 校章だけはまだ八稜星 071:老人 覚悟なく老人になる途中です あと何度観る『八月の鯨』 072:箱 ペシェの箱の7つの銀のてんてんがきみの星座にみえる憂鬱 073:トランプ ヒデヨシとネズミトランプする今朝の夢さめて食むチーズトースト 074:水晶 水晶に閉じこめられた不純物この紫は誰の愁傷 075:打 打ち上げた犠牲フライのその先の高すぎる空 返信はない 076:あくび 5小節分のながぁいあくびしてツクツクボウシにおやすみを言う 077:針 待つのには飽きた頭は捨てた でもぼくはやっぱり待針だった 078:予想 予想より遅れたぶんを修正し優勝セールのレイアウトひく 079:芽 こんなにもあまいオトナになるはずの親子サラダの新芽の辛さ 080:響 リッケンの開放弦を響かせて立つひとに吹く風の眩しさ 081:硝子 磨いても傷つき曇るだけならば硝子のこころなんてもう もう 082:整 整数に切り捨てられてもきみの瞳も地球も丸いままだ よかった 083:拝 服のまま拝むかたちで眠るひとの横顔しろく撫でる満月 084:世紀 ボンダイの海からのびた虹は21世紀の空気に融けて 085:富 めいっぱい近づく富士に歓声も17インチGoogle Earth 086:メイド 梢見上げハンドメイドの万華鏡まわせば崩れ立ちあがる秋 087:朗読 いさぎよくすずしいしゅんたろわーるどを神戸浩の朗読できく 088:銀 前の惑星(ほし)の職場は週休四日制 金銀土日がお休みでした 089:無理 あしたあしたすべてはあしたそれまでは無理も道理も丸めておこう 090:匂 霧雨のやんだ日比谷に降り注ぐ甘い匂いのひかりの軌跡 091:砂糖 賛辞などシフォンケーキの粉砂糖べたつく前にいただきましょう 092:滑 ここからは直滑降でゴールまでとはいかなくてぽつぽつ歩く 093:落 それまでに決めておきたい流れ星になれるのならばどこへ落ちよう 094:流行 ふがいないやいやいやぁと流行りうた今日のメンツにあわせて歌う 095:誤 誤作動の記憶はシュレッドして捨てるあふれた屑を押し込みながら 096:器 パパリンコグラスは今も食器棚二段目で待つきみの左手 097:告白 告白は目からこぼれるさよならは鼓膜にしみるつがいの記憶 098:テレビ 昔観た深夜テレビの吹替版ジュリーの「鬼火」はあれ一度きり 099:刺 刺繍糸4本どりでざっくりと埋めてゆく日々かさねて冬へ 100:題 邦題は「ひなたぼっこが俺の趣味」鼻歌チャートの一位揺るがず ぎりぎり完走でした それにしても自分にしか意味のわからない セルフセラピー的な歌が多いこと コメント
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